尾道の思い出

20年ほど前に尾道を旅したことがある。5月の連休であったが天気が曇りで、尾道の駅に着くと今にも降り出しそうであったことが妙に頭に残っている。あの頃はデジカメなどまだ珍しく旅には「写ルンです」をよく持参した、そんなカメラで撮影された写真集が押し入れのガラクタの中から出てきた。

 

当時泊まった宿は目の前に尾道水道が広がるビジネスホテルで近所のコンビニで買った地酒(名前は忘れた)がやたらうまく窓際において尾道の夜景といっしょに写真に収めたりした。そんなどうでもいいようなものばかり何枚も簡易アルバムに閉じられている。尾道は道が細く坂道ばかりであった。

 

ぼくは車が嫌いなので、こういった細い道があると好んで歩いたりするのだが、坂道と神社しかなくだんだん飽きてきたことも懐かしい思い出である。たまに「自撮り」をしたりしているが当時着ていた服がやたらと懐かしい。

 

青いジャケットとエンジのシャツである。当時は身体も一回り大きくサイズもLLだった。途中志賀直哉先生の住んでいた家がありしばらく時間をつぶすことが出来た、この家の間取りは僕好みでありこんな家で暮らしてみたいものだなどと言って、誰も周りにいないのを確認してから座敷に仰向けになり伸びをした。

 

志賀さんの家といえば奈良公園のなかにもあったはずだ。写真を見ながらこんなことを思い出していた、しかしあれからもう20年、たぶん20年後などあっという間であろう。そんな広島には友人がおり来月あたり久しぶりに会おうか、といった話になった。

 

いったい彼が広島のどこに住んでいるのかは知らないがたまに遠出するのも悪くはない。彼は小さな雑貨屋さんを営んでおり財布のことがやたらと詳しく、酒を飲むとやたらとうんちくをたれる癖がある。

 

根が善人なので悪い気はしないのだが最近は占いに凝っているらしく、近所の有名な先生とよく会っては話すそうである。なんでも駅前の喫茶店で鑑定をしてくれるそうで地元ではけっこう有名らしいがこのなかにいるかもしれない。

 

財布も縁起物だからとても占い師の話も参考になるらしい。今度会う時にはそんな話がゆっくり聞けそうである。